ハイ! ここは、いったい何をするための部屋か、ワカリマスカ?
クロダキョウイチ!?  察しのいい人はもうとっくに気がついているワネェ。
そう、音楽をきくの部屋、リスニング・ルーム。セーカイです。
ところでいったいユーは、ナニモノ? フーアーユー? といいたいんでしょ?
「かいじゅうだろう」って? いい線ですよ。ホントはもうひと声ほしいけど。
苦みバシッタあの目力がタマラナイ、とか…ネ。

これでもミーは、くろださんにつれられて、ニューヨークからやってきたんだよ。
たしかあれは1980年代だったなあ。
ラップにくるまれただけの大きなミーを両手いっぱいに抱えて、ショップからホテルまで、摩天楼下ひと目を
ひいたフタリだけのパレード。紙吹雪こそ舞わなかったが、思い出すだけでも胸がおどる。初めて出会ったそのヒトはミーよりずっと年上だったけど、どこか少年のようなところがあったからね。
それから、乗ったねぇ、ヒコーキ。ひろいひろい海をこえて着いたところがトウキョーさ、
落ち着いたのがこの部屋さ。
旅から帰ったその日から、くろださんは音楽をききはじめるよ。好きなんだねぇ。それはそれはていねいにきくんだよ。ききおわり、なっとくがいくと、キーボードをたたいてはゲンコーをいくつもいくつも書くんだ。そんな様子をボクは誰よりもずーっとながーく、身近に見てきた。
くろださんが仕事をする姿、気配まで、亡くなったいまもボクにはまだ見えるんだよ。ホントだよ。
ボクにとってこの部屋は、いまも「くろださんのいるところ」なんだよ。

photos by Senjuro Tachibana


音楽評論家、黒田恭一氏が亡くなられて今年で10年となりました。これを機に、黒田さんの想い出に捧げる音楽とトークの会を開催いたします。
黒田さんをご存知の方にあたらめて想いをはせていただきたいのはもちろんのこと、ご存知ない方にも在りし日の黒田さんのことを知っていただきたく、ぜひご来場ください。

「くろださんのいるところ」〜黒田恭一さんの想い出に

【日時】2019年11月19日(火)15時開演
(終演後にホワイエにてレセプションがございます。ご参加は自由です)
【会場】王子ホール(中央区銀座4-7-5/TEL.03-3564-0200)
【参加費】3,000円(レセプションも含みます)

【主催】「くろださんのいるところ」実行委員会
【お問合せ】「くろださんのいるところ」実行委員会
TEL.090-6104-5024
FAX.03-3376-7151
E-mail kurodasan.no.irutokoro@gmail.com

◎プログラム
【演奏】 黒田さんとの想い出の曲
吉野直子(ハープ)
J.S. バッハ(D. オーウェンズ/吉野直子編):シャコンヌ
〜無伴奏ヴァイオリン・パルティータ 第2番 BWV 1004より

長谷川陽子(チェロ)
鈴木大介(ギター)
A.ピアソラ:Tanti Anni Prima(ディオ版)
ほか各ソロ曲

塩谷 哲(ピアノ)
J.ブラームス:交響曲第3番 第3楽章より
(Bunkamuraオーチャードホール企画「COOL CLASSICS」版より
ピアノソロ編)
ほかソロ曲

※演奏順不同

【トーク】 広渡 勲(昭和音楽大学 客員教授)
「黒田さんとの想い出」(仮)

【司会】 有江活子(フリーアナウンサー)

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黒田さんの、ちょっと長めだったり、ちょっと変わった趣向だったり、ちょっとカタい語り口だったりする文章を、少しずつライブラリーに収めていきます。
音楽をきくことからはじまって、音楽からはなれたところに及ぶテーマもあります。

黒田恭一さんが書かれた文章を、その月その日に起こったことに即して掲載しています。

1938年、東京・神田に生まれた黒田恭一さんは、早稲田大学在学中から音楽を中心とした執筆活動を始めました。大学卒業後もさまざまな音楽について、求められるままにたくさんの文章を雑誌や新聞等に寄稿することになりますが、その発表の舞台は音楽専門誌に限らずオーディオ雑誌をはじめとしたいろいろな雑誌や新聞、レコード解説書などにおよび、また黒田さんが耳を傾ける音楽はクラシック、ジャズ、ポピュラー等のジャンルの垣根を超えるものでした。さらにラジオやテレビの音楽番組で語られる黒田さんの言葉を通じて、多くの人が音楽をきくことの楽しみ、喜びを知ったことと思います。音楽をやさしく、柔らかく、まっすぐに、時に厳しさのスパイスも忍ばせて語られたそれらの言葉の多くは、初出時の媒体に発表されたきりで書籍等にまとめられることはあまりありませんでした。

音楽をどうきくのか――音楽に対する姿勢は時代や場所によって変わっていくようなものではなく、普遍的な心のありかたであると思います。その意味で黒田恭一さんが音楽について記された言葉は決して古びるものではありません。このサイトでは、そんな黒田恭一さんの文章(©KURODA/2015)を適時紹介していきます。
昨今の情報洪水の中では、音楽すら「情報」として扱われかねない勢いで、音楽の楽しみや喜びもいつしか見失いそうになってしまいます。黒田恭一さんののこされた言葉を手がかりに、音楽をきくことをもう一度考えてみたい、取り戻したいと思います。